美容整形:韓国の事情

美容整形先進国と呼んで差し支えないであろう、お隣の韓国では、美容整形は一種の「ステータス」として定着した感がある。韓国といえば儒教・キリスト教が混在する国であり、その宗教意識・道徳意識は日本など比べ物にならぬほど高い。むしろ美容整形を受け入れ難い要素は日本より大きそうな気もするが、実際の韓国ではそれほどの不自由さは無いようだ。これは同じアジア文化圏でも香港・上海など大陸系に共通する意識かもしれないが、とにかく向こうでは美容整形を歯列矯正や視力矯正などと同列レベルに捉えているようなのだ。

美容整形をどこか大げさなもののように考えてしまう日本と、社会的教養の一種と捉える韓国ではずいぶんと意識が異なる。元々日本民族というのはこうした大陸的価値観を継承する人々であり、それは魏志倭人伝の「鯨面文身」に始まり、確実に江戸時代末まで連綿と続いていた「美に対する精神的自由さ」なのだ。明治から昭和中期にかけての「教育勅語的価値観」が日本人の意識を暗く重いものに捻じ曲げてしまったことは疑いようも無い。そんな捻じ曲げられた精神構造が美容整形を斜めから見る風潮を造り出していたと言えるのではないか。げに教育とは恐ろしいものだ。

美容整形が日本で受け入れられ始めたのは「戦前レジームの崩壊」を体現するものなのかはさておき、韓国での美容整形熱はとにかく高い。「中流」を意識する韓国家庭では子弟が幼いうちに歯列矯正を完成し、社会に出る時期にはこぞって美容整形を受けさせる。韓国では美容整形によるすっきりとした目元と歯列矯正による美しい歯並びが育ちの良さを表すサインなのであり、教育熱の高さとあいまって、韓国における社会的ステータスを形成している。

美容整形の韓国における普及レベルを測るには、やはり近年の韓流ドラマや韓流映画を見るのが手っ取り早い。かの国では美容整形の利用を隠す人がほとんどおらず、むしろステータスと意識していることから、美容整形ユーザーを見つけやすい。韓流スターもこと美容整形についてはほぼ全員がオープンにしている。ここで気づくのは、皆それぞれの個性を存分に際立たせた美容整形を成功させている点だ。いわゆるステロタイプなアンドロイド的美貌とは無縁である。もっと人間的で、躍動感と活力に溢れた美しさが画面をにぎわしている。

美容整形に対するこうしたオープンな態度が結果的には韓国における美容整形全体のレベルを引き上げ、質を向上させていると言えるだろう。そしてその好影響が日本の美容整形事情にもうまく反映しているというのが現状だ。「個性」「自然美」という韓国美容整形の2大テーマは、そのまま現代日本における美容整形のテーマでもある。