美容整形:近年の動向

美容整形に対するかつての根強い無理解の原因となっていた“誤ったタブー視”は近年ようやく正常に復しつつある。これまで日本人は、美容整形を行ったという事実を他人から隠そうとしてきた。その根底には美容整形に対する封建的・儒教的道徳観による歪んだタブー視があったのだが、これは美容整形に限らずあらゆる「新しい文化・科学」に対してずっと行われてきた謂れなき反発のひとつでしかない。新しい技術、新しい価値観に対して日本史のある期間、我々はあまりに不自然に眼を閉ざし続けてきた。戦後もようやく昭和の終わり頃から、日本人は本来の精神的自由さを取り戻し、最新の科学・テクノロジーに正対する姿勢を持ち始めた。これは日本における美容整形の再評価の時期に丁度重なるようだ。

美容整形が再評価を得るに至った最大の要因は、何よりもその技術の驚くべき発達であり、さらに美容整形外科医たちの「美意識」がより高度なものに練り上げられていったことがユーザーの評価を得たのであろう。実際、初期の美容整形が完全な「改造」レベルであったのに対し、現代美容整形はいかにしてユーザー本人が生来持つ美点をクローズアップし、輝かせるかにその視点が移っている。親ですら子供の顔が判らない「他人の顔」ではなく、本人の個性をきちんと残した「オリジナルの美」が追求されている。アンドロイドのようなおすまし顔でなく、笑ったり泣いたりする「生きた表情」が現代美容整形の魅力でもある。

美容整形の精神的バックボーンが「ナチュラル」に移行したのは、世界美容整形医学界全体の流れでもあり、時代の趨勢である。ひとつにはそれまでのステロタイプな「美貌」のイメージがより多様化し、社会のあらゆる面において「個性の時代」がようやく定着したこともまた、美容整形の新たなステップに寄与していると言えるだろう。この分野の発達は、美容整形医師たちの意識の高まりと、何よりユーザー自身が個性の重要さに目覚めたことが大きい。その上で、ナチュラルな美容整形が為されれば、個人の美質をより際立たせる本来の「美容」整形が実現することになる。

美容整形がある種のセラピーの役を担うことも近年注目されてきた。いかに個性の時代とはいえ、やはり容貌上のコンプレックスというものは社会で暮らす人間にとって重要な問題だ。たとえホクロひとつのことにしても、本人には重く大きな心の傷としてのしかかることもある。美容整形はこれらの精神的ストレスを文字通り払拭してしまう魔法の杖だ。しかも技術は高度に発達し、安全・確実に、しかも美しくナチュラルな仕上がりを約束する。医療技術の進化と様々なテクノロジーの応用で、施術自体にかかる費用がぐっと引き下げられたことも美容整形を身近にしてくれた要因として特筆すべきだろう。

美容整形に対するイメージを高め、信頼度を増したひとつの要因として、近年の韓国ドラマブームが挙げられるのではないか。このブームに連動して隣国韓国における美容整形熱の高まりが日本にも詳しく報道され、その生きた広告塔としての韓流スターたちのナチュラルな美しさに、日本人の美容整形に対するイメージが劇的に変化したことは間違いない。